多文化共生セミナー「外国にルーツを持つ若者とつくる徳島の未来」を開催しました

公開日 2023年03月25日

更新日 2023年03月27日

 2023年3月12日(日)、「多文化共生セミナー」として、「外国にルーツを持つ若者とつくる徳島の未来~外国につながる人たちとの共生に向けて~」を開催しました。会場とオンラインの参加者36人が、キーシャさんの話に耳を傾けました。

 

 キーシャさんは、小学生のときにフィリピンから来日しました。言語や文化の壁にぶつかりながら、クラスや学校の一員になれたと実感する経験を重ねていきました。しかし、「ハーフ」であることを理由に「マイクロアグレッション※」を受けたことが「アイデンティティ」について考える大きなきっかけになったそうです。外国ルーツの方に対する言動に、何気なく相手を傷つけてしまうことがあると気づかされます。

 

 ※マイクロアグレッション・・・明らかな差別に見えなくても、先入観や偏見をもとに相手を傷つける行為

 

 キーシャさんは自身の経験をもとに、高校3年生のときに、外国人の親やルーツを持つ子どもたちの団体「BOBW(Best Of Both Worlds=両国の一番いいところをとる)」を立ち上げました。少数派として個人で留まらず、コミュニティとしての場づくりや、情報や悩みをシェアリングし、個々人の可能性を最大限に見いだすことを目標にしています。

 大学では、「日本で育った外国にルーツを持つ子供たちのアイデンティティの葛藤」をテーマに研究したことから、アイデンティティに考慮した支援のあり方について、支援者に向けたメッセージも発信されました。さらに、悔しい想いを原動力に英語を強みにしたこと、模擬国連で交渉力・リーダーシップ力を磨いたことなど、自分の可能性を開いた経験についても伝えてくれました。

 最後は、同じ外国にルーツを持つ仲間に向けて、「周りを頼り、自分を受入れ、チャレンジをすれば可能性は大きく広がっている」と力強いメッセージが送られました。

 

 今回のセミナーでは、キーシャさん自身のおかれた環境やその時々の心情などを赤裸々に語ってくださり、外国ルーツの方の想いや、彼らとも一緒にこれから徳島の未来をつくっていくに向けて、たくさんのヒントをいただきました。

 

参加者からは、以下のような感想が寄せられました。

  • お互いを尊重し合い、気軽に話してもらえる環境づくりだけでなく、自分から話しかけられる努力をしていきたいと思った。
  • BOBWの活動内容がよく分かりました。この内容を発信する方法には何があるのか、何か協力できたらと思いました。
  • 外国ルーツを持つ持たない関係なく、普通の人間として接するのが大切だと思いました。外国ルーツを持っていても普通の日本人と変わらないので、普通の人として接してほしいと思います。
  • 私自身が学び続けることが大切。1人1人をしっかりと理解するということを謙虚に大切にする。「いつでも」「どこでも」「何度でも」サポートすることを心にとめておきたい。自分自身の言動を振り返り、自己との対話の時間を大切にする。
  • 日本に生まれて日本でずっと暮らす日本人の私は、日本人としてのアイデンティティを何の疑問もなく持っている。自分が関わっている外国で生まれて日本で暮らすようになった子ども達や日本で生まれた外国人の子ども達のアイデンティティの事をもっと意識して接していかなければならないと思った。相手の身になってという言葉があるが、相手の立場に立つことは難しいけれど、その努力はすべきであり、1人の人間同士で、お互いの違いを尊重しながらつきあっていきたいと思う。

 TOPIAでは、外国ルーツの方の考えを聞いたり、交流したりする機会を、BOBW(Best of Both Worlds)とも協力しながら、展開していきたいと思います。外国にルーツがある・ない関係なく、全ての人の可能性が最大限に引き出される社会を目指していきます。